My Own Private PENDLETON vol.10:久保 正さん(Yohji Yamamoto)

My Own Private PENDLETON vol.10
ペンドルトンが彩る日常 vol.10:久保 正さん(Yohji Yamamoto)

 

創業以来、160年以上にわたりアメリカを代表するライフスタイル・ブランドとしてそのルーツであるインディジネス・ピープルズ(ネイティブ・アメリカン)はもちろん、アメリカならではの古くて新しいオーガニックな暮らしを彩ってきた<PENDLETON>。新連載「My Own Private PENDLETON」では、そんな日常を編みながら未来へと続くカルチャーを形創る方々をご紹介します。第10回は、世界のファッションシーンを牽引するブランド<Yohji Yamamoto>のクリエイティブ部門を統括する久保 正さん。今年11月にローンチする<Yohji Yamamoto>×<PENDLETON>のコラボレーションの経緯や思い入れや、<PENDLETON>の原体験などについてお話を伺いました。

古着屋、ショーケン、北野武

――<PENDLETON>とは、どのように出会ったのでしょうか?

 

久保 正(以下「久保」):10代の頃、大阪でサーフィンに明け暮れながらアメ村の古着屋で働いていて、そこで<PENDLETON>をはじめさまざまなブランドを知り、ファッションを学び始めました。だから<PENDLETON>は僕にとっての原体験であり、マストアイテムなんです。

あとは『傷だらけの天使』のショーケン(萩原健一)! 深作欣二が監督した4話か5話あたりでショーケンが<PENDLETON>のオープンカラーシャツを着ているんです。それがカッコ良くて。それから北野武さん。うちは『BROTHER』をはじめ北野 武さんと長らくご一緒しているのですが、同作で北野さんが着用しているオープンカラーシャツは、<PENDLETON>をリスペクトして作りました。

取材日に着用してきていただいた、40年近く愛用しているという<PENDLETON>のビンテージ開襟シャツ。

 

<Yohji Yamamoto>の作る服は、流行り廃りがないんです。<PENDLETON>もそう。トラディッショナルだからこそずっと長く着ることができる。結局自分が好きなものって、トラッドなものなんだと思います

 

――今日も<PENDLETON>のシャツを着用されていますね。

 

久保:インタビューだし着てこようかなと思って()。これは1980年代のアイテムかな。確か原宿の古着屋さんで購入したんですけど、絶妙なサイズ感や襟周りの感じが気に入っています。やっぱり<PENDLETON>といえばチェック柄ですよね。ウールで冬場も暖かいから、重宝しています。他にも真っ赤なシャツや黄色、黒、グレーのチェックシャツなど<PENDLETON>のアイテムはいくつも持っています。

僕は、ファッションを志した15歳の頃から完全にファッション・ヴィクティムで。その中でよいものもよくないものもたくさん見てきて、<PENDLETON>はやはりいいんです。一時期、<Yohji Yamamoto>以外も着てみようと思って他のブランドも買ってみたりしたんですが、やはり<Yohji Yamamoto>に戻ってくる。オーバーサイズを笑われた時期もありましたが、今は街中がオーバーサイズで溢れていますよね?

結局<Yohji Yamamoto>の作る服は、流行り廃りがないんです。<PENDLETON>もそう。トラディッショナルだからこそずっと長く着ることができる。結局自分が好きなものって、トラッドなものなんだと思います。

 

クリエイティブ、アーカイブ、斬新なタグ

――<Yohji Yamamoto><PENDLETON>のコラボレーションがこの秋冬ローンチされますが、実現に至った経緯を教えてください。

 

久保:最初に<PENDLETON>から何かコラボレーションできませんかというご提案があったんです。正直なところ、少し躊躇しました。なぜなら円がとても弱いから()。でも<PENDLETON>が尽力してくれて、なんとか実現することができました。今回は上下で7セット作っています。

2007年にスコットランドの伝統的なチェック柄を使ったショーがあり、そのショーピースをアップデートする形でコラボレーション・アイテムを作りました。もともとショーの際はタキシードクロスを使用していた部分を<PENDLETON>のフランネルに変更したり、ジャケットを実際に2枚重ねていたルックを、着心地を考えて2枚のジャケットがドッキングされた1枚仕立てに変更しています。

 

—カーキのカラーリングやタグもとても新鮮に感じました。

 

<Yohji Yamamoto>って意外とカーキもよく使うんですよ。ただやりすぎて旧日本軍の軍服みたいになるのは避けたくて、カーキのトーンにはかなりこだわりました。黒はもちろんだけど、グレー、カーキ、赤も<Yohji Yamamoto>にとってのマストカラーだと思っています。だから次回またコラボレーションするなら、真っ赤なウールのアイテムも作ってみたいですね。

タグは<PENDLETON>のあの有名なタグに、上から<Yohji Yamamoto>の筆記体のロゴを刺繍で入れさせて頂きました。<PENDLETON>の長い歴史の中でも、こんな斬新なタグは初めてだと思います。格好いいでしょ()

 

商品の立ち上げにあわせ、伊勢丹新宿間メンズ館1階ザ・ステージ#31126-122日)とジェイアール京都伊勢丹(1126-121日)にてポップアップを開催。実際に商品を手に取りながら、斬新なダブルネームのタグ・デザインをお確かめください。

 

<Yohji Yamamoto>のクリエイティブと<PENDLETON>のアーカイブが組み合わさることにより、新しいけどずっと残るアイテムを作り出すことができたと思っています

 

—とても素敵です! 今回のコラボレーションに限らず〈Yohji Yamamoto〉は過去にもさまざまなブランドとコラボレーションしています。久保さんにとってコラボレーションに不可欠なものとはなんでしょうか?

 

相手の熱意ですね。今回も<PENDLETON>の熱意がなければ実現できなかったと思います。何度も打ち合わせを重ね、最後の打ち合わせの際にはデザインだけでなく、もう卸先でどう売るかまで頭の中に浮かんでいました。やはり良いコラボレーションはお互いがいかに気持ちよくできるか、お互いの強みを掛け合わせられるかですね。

今回も<Yohji Yamamoto>のクリエイティブと<PENDLETON>のアーカイブが組み合わさることにより、新しいけどずっと残るアイテムを作り出すことができたと思っています。

 

<Profile>
久保 正

くぼ・ただし / 大阪府出身、1961年生まれ。近畿大学商経学部卒業後、文化服装学院デザイン専攻科に進学。1987年ヨウジヤマモト社に入社し、現在、同社でクリエイティブの統括を行う。


<Staff>
photography : Masaru Tatsuki
text : Sohei Oshiro(Chiasma)
edit : K2(SHATEKI Inc.
)>

 

ウールシャツの商品を見る>>

Share Tweet Pin it
記事へ戻る