
My Own Private PENDLETON vol.12
ペンドルトンが彩る日常vol.12:小林朋紀さん&Masaya Fantasista さん(JAZZY DOG)
創業以来、160年以上にわたりアメリカを代表するライフスタイル・ブランドとしてそのルーツであるインディジネス・ピープルズ(ネイティブ・アメリカン)はもちろん、アメリカならではの古くて新しいオーガニックな暮らしを彩ってきた<PENDLETON>。「My Own Private PENDLETON」では、そんな日常を編みながら未来へと続くカルチャーを形創る方々をご紹介します。第12回目は、長野県長和町でライフワークとして<JAZZY DOG>という犬との共生を目指す取り組みを始めた小林朋紀さん・Masaya Fantasistaさんご夫妻を訪ね、「家族」だからこそ紡ぐことのできる物語をお届けします。

大型犬、2,000㎡の完全貸切ドッグラン、ドッグトレーニング
――お二人は、「愛犬との絆が深まる」ことをコンセプトに、長野県長和町の静かな森の中の素敵な環境で愛犬と家族のための複合施設<JAZZY DOG>を運営しながら、「大切な命、放棄しない・ささせない社会づくりを」というテーマを掲げてレスキューされる犬を減らすことを目的とした認定NPO法人<JAZZY DOG LIFE>としても活動されていますが、具体的にはどのような活動をされているのでしょうか?
小林朋紀(以下「朋紀」):<JAZZY DOG>では、2023年に小型犬から大型犬まで受け入れ可能な、約2,000㎡の広大なフィールドを完全貸切でご利用いただけるドッグランをオープンしました。ドッグランは森の中にあるので、鳴き声を気にすることなく、のびのびと犬を遊ばせることができます。高さ2mの返しをつけた特製のフェンスで周りを囲っているので、大型犬でも安心してご利用いただけます。
Masaya Fantasista(以下「Masaya」):予約・受付から完全無人対応でご案内していて、365日24時間、1時間単位からご利用いただけるので、人見知りや怖がりな犬でも、思う存分に家族だけの時間を楽しんでいただいています。
朋紀:<JAZZY DOG>では、ドッグトレーニングのサービスも行っているのですが、犬と人間が一緒に暮らす上で、人間が「犬の習性」について理解すること、それから犬が「人間の社会」について理解することが大切なんです。
私たちはそのどちらも大切にしながら、トレーニングを通じて家族と愛犬それぞれがお互いを尊重し合えるコミュニケーションづくりのサポートをしていて、対面のほか、出張やオンラインでまずはカウンセリングさせていただき、お悩みや愛犬の性格に合わせたトレーニングのプランを作っています。
広大なドッグランで思う存分走り回った後、恒例の「ここ掘れワンワン」を楽しむ愛犬のリンリン(左)とディーゴ(右)
ドッグホテル、狩猟犬、保護犬シェルター
――建物内も本当に素敵な空間ですね。
Masaya:そう言ってもらえると嬉しいです。地元の建築家の方で、もともと国際的に活躍する某有名建築家の事務所にいた方と知り合って色々と相談しながら形にしていき、2025年にドッグホテルと大型犬や狩猟犬に特化した保護犬のシェルターをオープンして、<JAZZY DOG LIFE>としての保護犬のレスキュー活動をより充実した環境の中で行えるようになりました。
長野県の動物愛護推進委員にもなっているのですが、特に大型犬は災害時に同行避難が難しい状況が続いているので、「犬の避難所」として実際に能登半島地震で被災された方の愛犬を受け入れたりもしています。
日本では全くと言っていいほど災害時の仕組みが整備されていないので、その基礎づくりにもつなげていけたらと思っています。
朋紀:<JAZZY DOG>や<JAZZY DOG LIFE>での活動を通じて、「大切な命、放棄しない・させない社会づくり」を実現していくためには、保護・譲渡活動だけでなく、この場所を拠点に犬に関するさまざまな啓発活動を積極的に行い、じっくりと理解と共感を拡げていくことができたらと嬉しいですね。
<JAZZY DOG>や<JAZZY DOG LIFE>での活動を通じて、「大切な命、放棄しない・させない社会づくり」を実現していくためには、保護・譲渡活動だけでなく、この場所を拠点に犬に関するさまざまな啓発活動を積極的に行い、じっくりと理解と共感を拡げていくことができたら嬉しいですね(小林朋紀)
能登半島地震で被災された方の愛犬で、お預かりして2年を過ぎたシェパードのブラックちゃん。夫婦2人でお世話をしていることもあり、1頭1頭のクオリティ・オブ・ライフを大切にしたいという強い意志のもと、シェルターでは10頭くらいを目処に保護犬や災害された方の愛犬を受け入れている
イングリッシュポインター、一目惚れ、ドッグトレーナー
――そもそも、どんなきっかけで<JAZZY DOG>の活動を始めたのですか?
朋紀:今の愛犬、リンリンとディーゴに出会ったことが全ての始まりでした。
もともと私たちは神奈川県横須賀市に暮らしていて、10年ほど前にチワワを1頭飼っていたのですが、子どもたちが小さい時に亡くなってしまい、それ以来犬は飼っていなかったんです。でも子どもたちが小3と小6の時に「また犬と暮らしたい!」言い出して。
正直なところ私はやっと子育てが落ち着いてきて自分の時間を持てると思ったところだったので、「犬の世話なんて無理!」と思ったんですけど、試しに保護犬の譲渡会に行ってみることになって、そこで出会った「イングリッシュポインター」という大型の狩猟犬に出会って。
Masaya:子どもたちより、朋紀が一目惚れしてしまって、うちで引き取ることになったんだよね(笑)。
朋紀:そうそう(笑)。どうしてこんなかっこいい子たちが捨てられてしまうんだろうって、衝撃を受けて。実際に育て始めてみると、「かわいいだけじゃ無理だ」って気付いて、ドッグトレーニングの勉強を始めたんです。
はじめは迎えた愛犬たちと家族のために勉強をし始めたんですけど、40歳に近くなってから改めて勉強をするのがとても楽しくて。それまでは特に趣味もなかったんですけど、気がついたら本格的にドッグトレーナーの資格取得を目指すようになり、そのうちに「預かりボランディア」という活動を知って、まずは個人で活動を始めました。
Masaya:資格を取ると実際に犬たちとの付き合い方が如実によくなっていって。
朋紀:トレーニングの勉強をするに連れて犬の扱いがわかるようになり、もっとたくさんの犬を迎えられそうな実感が湧いてきたんです。特に噛み癖や吠え癖があってなかなか保護されない子たちを積極的に救いたいという気持ちも強くなっていって。
大型犬や狩猟犬はストレス発散のためにも運動量が必要で、犬によっては他の犬と一緒に散歩に行けないことも多いので、順番に散歩していると1日に20km以上歩くこともザラで、1日が散歩で終わってしまうような、それこそ24時間犬中心の生活の毎日で。思い切り走らせるために大型犬でも連れて行ける千葉の貸切ドッグランまで連れて行ったり、これはもう横須賀の住宅街に住んでいる意味はないなと思うようになっていったんです。
Masaya:そんな暮らしを5年くらい続けるうちに、それならリンリンとディーゴを含めた家族全員のためにも、自分たちで自然の中に土地を買って、専用のドッグランを作りそこで生活しようということになり、夏は涼しくて冬は雪の少ないところを条件に探すうちに、今の長野県長和町の土地を見つけて。
長和町は山奥だけれど、国道が通っていて高速のインターからも近いし、旅先でドッグランに困った人も気軽に立ち寄れると思い、即決しました。そこから移住に向けての計画を具体的に考え始めていきました。

家族、やりたいこと、ハッピーワイフ・ハッピーライフ
――なかなか思い切りましたね。それこそお子さんたちは反対しなかったのですか?
朋紀:長男はちょうどサッカーで全寮制の学校に入ったタイミングで、次男は中学で転校が必要だったのですが、小さい頃から犬が好きだったので、「犬のためなんでしょ」って納得してくれて。
次男はすごいゲーマーで、WiFiがつながっていればいいよって感じの子だったんですけど、長野に引っ越してからバスケにハマって、今は本格的にバスケをやるために寮に入りながら松本の高校に通っています。最初は中卒でいいって言っていたくらいなので、やりたいことが見つかって、本当に嬉しかった。
――それこそMasayaさんは30年近く自分が大好きな「音楽とスポーツで世界をひとつに」というコンセプトに<JAZZY SPORT>としての活動を続けていますが、今では家族全員がやりたいことを見つけて実践しているわけですね(笑)。
朋紀:ホントにそうなんです(笑)。
Masaya:それが本当に嬉しい。僕はこれまで音楽や映像の仕事をメインに場所を選ばない働き方をしながら生きてきたので、拠点を移すことは特に問題なかった。今までは僕のやりたいことに奥さんがついてきてくれていたから、今度は奥さんがやりたいことを一緒にやっていけるのが、本当に嬉しい。
<JAZZY SPORT>のコンセプトにもつながることなんですけど、僕は「チーム」という考え方を大事にしていて、適材適所というか、それぞれみんな長所と短所があり、お互いをリスペクトし合いながら、長所は生かし、短所はサポートし合うっていうのが基本だと思う。そうしないと勝てないから。
チームの中には気が合わない人ももちろんいるわけだし、でも勝ちたいんだったら違いを尊重しながら一緒にやっていこうよということが、僕がスポーツから学んだいちばん大切なことで、それは「社会」も同じだと思うし、そう思えば世の中はもっとよくなっていくはず。
そんな社会のいちばんコアにあるのは「家族」で、その中でも最も核になるのが「夫婦」。だから、「ハッピーワイフ・ハッピーライフ」というのが自分のモットーで、僕自身が本当に好きなことだけやって生きてこさせてもらったし、朋紀は23歳で母親になり、若くして母親業を終えることもわかっていたから、いつか絶対に人生を掛けるような何かを見つけて欲しいと思っていたので、それを見つけてくれてヨシヨシと、心からそう思っています(笑)。

長野に移住後も24時間体制での犬たちへの対応は続いているが、保護犬たちはもちろん、家族であるリンリンやディーゴ、そして何より朋紀さんの心のゆとりが増えた。これまたヨシヨシ
ファミリー・カンパニー、天然素材、啓発
――「ハッピーワイフ・ハッピーライフ」、胸に刺さる言葉ですね(笑)。それこそ<PENDLETON>はファミリー・カンパニーとして、もともと自分たちとは違うバックグラウンドを持つインディジネス・ピープルズ(ネイティブ・アメリカン)のカルチャーを尊重しながらブランケットやシャツなど、その時々のニーズに合うものを160年以上作り続けてきたブランドなのですが、家族を大切にする<JAZZY DOG>や<JAZZY SPORT>のコンセプトとも共有する何かがあるのではないかと感じます。
朋紀:<PENDLETON>もファミリー・カンパニーなんですね! Masayaくんは<JAZZY SPORT>として<PENDLETON>の映像を撮っていたこともあるし、私も母親になる前はファッション関係のお仕事をしていて、<PENDLETON>は私たちの暮らしの中にあり続けています。
それこそウールシャツは家族でシェアして着ていたり、もともとはMasayaくんのだったんだけれど、最終的にお上がりとして私がいただいたり(笑)。
Masaya:アメリカだと孫まで着つないでいたりとか、いいよね。自分はそれこそ音楽的な部分のカルチャーやスタイルでも昔からリンクを感じる部分があったけど、やっぱり森の中に暮らしてみて、<PENDLETON>の天然素材は自然と共生する暮らに合うと思う。
朋紀:今はそれこそ24時間体制で大型犬の相手をしていて、すぐにビリビリになってしまうのでもったいなくて実際のところ作業の時にはあまり着れないですけど、犬たちにとっても化繊と触れ合うより絶対にいいと思う。
Masaya:<JAZZY DOG>や<JAZZY SPORT>のコンセプトにも通じるところとして、そもそも自分たちの音楽やスポーツ、それにもちろん保護犬の活動で有名になってそれを売ってお金を稼ごうとかいうヴィジョンは全くなくて、なんでそれをやり続けているのか、哲学的な部分で共感してもらえて、それで世の中がよくなればいいなと思ってやっているので、ネイティブ・アメリカンとの関わりについての啓発的な部分など、<PENDLETON>にもつながるところがあるかもしれないですね。
なんでそれ( <JAZZY DOG>や<JAZZY SPORT>の活動)をやり続けているのか、哲学的な部分で共感してもらえて、それで世の中がよくなればいいなと思ってやっているので、ネイティブ・アメリカンとの関わりについての啓発的な部分など、<PENDLETON>にもつながるところがあるかもしれないですね(Masaya Fantasista)

<JAZZY DOG>の敷地の森にもよく現れる、地元の猟師さんが捕らえた鹿肉を素材にジャーキーを試作中の二人。ドッグフード用としてはもちろん、人間が食べても非常に美味しい逸品
安心、循環、オープンシェルター・デイ
――最後に、今後はどのような活動をされていきたいと思っていますか?
朋紀:さっきも少しお話ししましたけど、日本は震災や台風などの自然災害が多い国です。でもそういった際に大型犬を預けられる環境はまだまだ整っていない。災害に限らず、急な事故や病気で一時的に犬を預かってもらわないといけなくなる時があるかも知れません。
のびのび遊ばせられる場所に加えて、何かあった時に安心して預けられる場所を一つ持っておくことは、大事な犬やその後の犬との暮らしを守ることにつながります。みなさんにとってのそんな場所に、<JAZZY DOG>がなれるようにしていけたらと思っています。
あと、既に実験を始めているのですが、この森にはたくさんの鹿がいて、害獣となってしまっている面もあるので、ジビエを利用したドッグフードの開発を進めていけたらと思っています。
それから無添加のドッグフードを食べた犬の糞を肥料にして野菜を育てて、自分たちが食べたる分だったりそれをまたドッグフードの素材にするなど、資源が循環する仕組みを作り上げていきたい。
あとは、まだこの場所で譲渡会を開いたことがないので、気軽に大型犬や狩猟犬に会いに来れるようなオープンシェルターデイを今年は開催できたらと。私が譲渡会で一目惚れして今があるので、そんなご縁を広げていけたら素敵だと思います。
Masaya:僕はやっぱり「ハッピーワイフ・ハッピーライフ」、そんな奥さんの試みを一緒に実現していきたいですね。
もちろん、現在の<JAZZY DOG>の活動だけで事業としてまわしてくのは実際のところ難しい面もありますが、できる部分は全力でサポートしながら、「犬との共生できる社会のあり方」を啓発していけたらと思っています。
そのためにも、もちろん大変なことはあるけど、ポジティブに家族で楽しみながら活動している様子を発信していけたら、長い目で見た時にしっかりと収益を上げている企業や個人が自発的に寄付したくなるような社会になっていくと思うので。そうじゃなきゃおかしいと思って(笑)、続けていきます。

現在はリンリンとディーゴ、小林夫妻の4人が暮らす、<JAZZY DOG>に隣接するこれまた素敵な空間で、家族の物語はこれからも続いていく
<プロフィール>
小林朋紀
こばやし・ともき / 認定NPO法人<JAZZY DOG LIFE>理事長。狩猟犬の保護犬を家族に迎えた事をきっかけに犬ついて学び始める。「大切な命、放棄しない・させない社会づくり」を目指して自宅で保護犬を預かり、新しい家族に繋げる活動をする上で、新しい家族のもとで人も犬もより幸せになるためには、自分自身がより知識を深め成長する必要を感じ「スタディ・ドッグ・スクール認定ドッグトレーナー」「米国CCPDT認定ドッグトレーナー(CPDT-KA)」を取得。犬たちが生き生きと走り回る姿に魅了され、自分も自然に身を置きたいという想いから2023年より長野県長和町に移住。犬たちの自由と福祉を第一に考え、学び続けながら犬たちとの信頼関係を深めている。
https://www.instagram.com/pointeraddicted.t/
Masaya Fantasista
まさや・ふぁんたじすた / 1977年ポーランド生まれ。<JAZZY SPORT>キャプテン。神奈川県横須賀育ち、長野県在住。幼少期に始めたピアノを通して音楽に開眼し、後に両親の影響でジャズに没頭する。2001年に音楽とスポーツをこよなく愛する女性に優しいハードコア集団<JAZZY SPORT>を設立。音楽イベントを通した山岳スポーツシーンの振興のみならず、クリエイターコレクティブ CINEMA CARAVANの一員としてDOCUMENTA15への参加、現在は保護犬の命と向き合う<JAZZY DOG>を立ち上げるなど、その活動はJAZZYで FANTASTIC。
https://www.instagram.com/masayasport/
<JAZZY DOG>
https://www.jazzydog-japan.com/
https://www.instagram.com/jazzydog.japan/
<JAZZY DOG LIFE>
https://jazzydog-life.com/
https://www.instagram.com/jazzydog_life/
<JAZZY SPORT>
https://www.jazzysport.com/
https://www.instagram.com/jazzysport.tokyo/
https://www.instagram.com/jazzysport.morioka/
<スタッフクレジット>
photography:Masaru Tatsuki
text:K2(SHATEKI Inc.)
edit:Sohei Oshiro(CHIASMA)
ウールシャツを見る>>
ブランケットを見る>>
タオルを見る>>
「ザ・カレッジファンド」ジャガードローブを見る>>
「ハーディング」ジャガードローブを見る>>