My Own Private PENDLETON vol.13
ペンドルトンが彩る日常 vol.13:Kozzy Iwakawa / 岩川浩二さん
創業以来、160年以上にわたりアメリカを代表するライフスタイル・ブランドとしてそのルーツであるインディジネス・ピープルズ(ネイティブ・アメリカン)はもちろん、アメリカならではの古くて新しいオーガニックな暮らしを彩ってきた<PENDLETON>。新連載「My Own Private PENDLETON」では、そんな日常を編みながら未来へと続くカルチャーを形創る方々をご紹介します。第13回は、1980年代後半より長きにわたって日本のロックシーンを牽引し続けているKozzy Iwakawaこと岩川浩二さん。ロックミュージックの変遷や、音楽とファッションの関係性、<PENDLETON>との出会いについてお話を伺いました。

チーフジョセフ柄(右)と、地元の広島球場限定で販売された広島カープとのコラボレーション・ブランケット。
広島、ロック、ジャケット
――まずは生い立ちや音楽との出会いについて教えてください。
Kozzy Iwakawa(以下「Kozzy」):広島市内、それこそ原爆ドームから徒歩2分ぐらいのところで生まれ育ったんだけど、今みなが想像する広島と違って当時の広島は本当に何もなかった。都会の情報もなかなか入ってこない状況だったんだけど、運よく叔父や兄貴が音楽をやっていたからレコードを聴けたり、楽器弾けたり、ライブにくっついて大阪なんかに遊びに行ったりして。
小さいときから周りに音楽があったんだよね。だけどその反動で小中学校時代はキャンディーズやアイドルなんかも聴いたりして(笑)。でもやっぱり昔から一番好きなのはビートルズや(ローリング・)ストーンズ、アニマルズのような60年代のロックやブルースかな。でも当時はそんな音楽に人生捧げるとは思ってなかったな。
――いつから明確にバンド活動を始めたのでしょうか?
Kozzy:中3年の終わり〜高1ぐらいかな。当時はロックバンドのカヴァーばかりやっていたね。キャロルやクールスのブームもあって、日本語なら自分らもできるかもなって思って。リーゼントしてボーダーのTシャツ着たりしてね。革ジャンは高くて買えなかった(笑)。
当時はファッションの情報もほぼないから、いろんなバンドのレコードのジャケットの着こなしを参考にしてたね。レコードの裏面の切り貼りのような小さな写真まで食い入るように見て必死にスケッチしたりして、脳に刻んだのを覚えてる(笑)。

プレスリー、CCR、2フラップシャツ
――音楽以外はどのようなことに興味がありましたか?
Kozzy:音楽に付随したファッションもそうだけど、やっぱり映画は好きだったよね。手当たり次第なんでも観漁った。なかでもアメリカン・ニューシネマや(ロバート・)デ・ニーロ、ハリウッド映画での(エルヴィス・)プレスリーはかっこよかったね。プレスリーが好き過ぎて、昔メンフィスのグレイスランド(プレスリーの旧邸)まで行ったけど閉まっていたなんてこともあった(笑)。
――<PENDLETON>は、ビーチボーイズに始まり、ロックやカントリー、ヒップホップなどとも深くリンクしながらアメリカンカルチャーと共にあり続けてきましたが、Kozzyさんと<PENDLETON>との出会いもやはり音楽経由だったのでしょうか?
Kozzy:ビーチボーイズもそうだけど、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)もよく見ると<PENDLETON>を着ているんだよね。俺らの周りでも90年代頭ぐらいかな、「<PENDLETON>のシャツがかっこいいぞ!」ってなって。たくさん買ってみんなで着回してたね。
それこそ今日着ているシャツも<PENDLETON>。ウールが入っているモデルは丈夫だから、今でもクローゼットに入っている。やはりチェックが多いけど、単色でもこういう2フラップのシャツも結構買ったなぁ。肩肘張らない自然な感じがかっこいいよね。僕が好きな音楽と一緒で<PENDLETON>のアイテムにも温かみがあると思う。
肩肘張らない自然な感じがかっこいいよね。僕が好きな音楽と一緒で<PENDLETON>のアイテムにも温かみがあると思う。

THE COLTS、暗いロック、明るいロック
―― THE COLTSの結成も90年代頭ですよね。
Kozzy:そうだね、THE COLTSは91年に結成しているから。90年代初頭はバンドブームで、プロやアマチュア、面白いものやそうでないもの、有象無象が入り乱れていて楽しかったな。アーティスト側とお客さん側の距離も近かったし。スカタライツやらオアシスやらいろんなアーティストも来日していたしね。オアシスはつまらなくて途中で帰っちゃったけど(笑)。あと当時衝撃だったのがやっぱりニルヴァーナの登場だね。言葉を選ばずに言うと、ロックが終わったとさえ思った。それまでの自分のロックの表現さえ疑ったよね。ニルヴァーナの影響で日本のシーンまで殺伐としてきちゃった。
ただその反動で、あんな暗いロックがあるなら、俺はもっと明るいロックをやろうと腹を括ったよね。ダサいかもしれないけど、殺伐としたガレージミュージックでなくて、どこでもみんなが楽しめて踊れる音楽を作ろうって思った。
――ニルヴァーナはファッション業界にも大きな影響を及ぼしました。
Kozzy:うん、でも俺が目指した音楽はやはり昔のロックだったから、ヴィンテージものばっかり着てたね。アメカジブームが来る前だったから「なんでいつもおじいちゃんみたいな格好しているの?」って言われていた(笑)。30年代のズートスーツやダブルのジャケット着たまま電車乗っていたりしたから。
今日被っているハットも笑われていたんだよ。今になってやっと「それボルサリーノですか?」って聞かれるようになったけど、理解されるのに30年以上かかったね(笑)。
俺は突然変異でまったくの新しいカルチャーが生まれることはないと思っていて。過去の集積があり、それをさらにアップデートすることでカルチャーや音楽って生まれてくるものだから。<PENDLETON>もそうだと思う。

質感、過去の集積、アップデート
――ファッションにおいてとくにこだわっていることはなんでしょうか?
Kozzy:質感が良いこと、自然体なことかな。ファッションだけでなくギターや楽器もそうなんだけど、ただただ新品で綺麗なだけではなく、「ん?なんかこの質感良いな」って気になったものを買うようにしてる。値段が高い安いじゃないんだよね。
――ハットもそうですが、ギターも相当な数お持ちですね。
Kozzy:仕事道具だからね(笑)。でもどうせなら仕事も楽しくできたら良いなって思って、遊び感覚でやっていたらこんなに増えちゃった。これでも片付けたんだけどな(笑)。やはり良いもの、好きなものに囲まれてるのは楽しいよ。
――足元も<PENDLETON>ですね。
Kozzy:よく気づいたね。だいぶ昔に<UGG>とコラボレーションした際に買ったものだけど。<PENDLETON>は俺の好きな音楽と同じで、もはや一種のカルチャーなんだよね。俺は突然変異でまったくの新しいカルチャーが生まれることはないと思っていて。過去の集積があり、それをさらにアップデートすることでカルチャーや音楽って生まれてくるものだから。
<PENDLETON>もそうだと思う。柄とかアイテムは変わらないまま、時代に合わせて機能性やマテリアルをきちんとアップデートさせているでしょ? それが今もみんなに愛されている理由なんじゃないかな。音楽も同じ。従来のファンもそうだし、新しい世代の人たちにも愛される、そんな音楽をこれからも作っていきたいよね。

<プロフィール>
Kozzy Iwakawa / 岩川浩二
いわかわ・こうじ / THE COLTS〜ザ・マックショウを率い、80年代末のデビューから現在に至るまで、時代も国境も飛び越えて日本のロックンロールを牽引するKOZZY IWAKAWAこと岩川浩二。都内に構えたレーベル事務所兼スタジオ「Rocksville Studio one」から自主作品だけに留まらず、ザ・モッズや大西ユカリ等多くのプロデュース作品にて最新型ヴィンテージサウンドを発信しつつ、「素晴らしき音楽世界旅行」と題し単身アコースティックライブを全国展開する一方、各方面からロックンロール職人達を集め、古から現在に至るまでのありとあらゆるロックンロールを総括しレビュー形式で魅せる「KOZZY IWAKAWA Rock’n Roll Revue (ロックンロールレビュー)」も絶賛活動中。
http://bad-rec.com/
https://www.instagram.com/kozzyrocksville/
photography:Masaru Tatsuki
text:Sohei Oshiro(Chiasma)
edit:K2(SHATEKI Inc.)
