
My Own Private PENDLETON vol.16
ペンドルトンが彩る日常vol.16:Hana Hopeさん
創業以来、160年以上にわたりアメリカを代表するライフスタイル・ブランドとしてそのルーツであるインディジネス・ピープルズ(ネイティブ・アメリカン)はもちろん、アメリカならではの古くて新しいオーガニックな暮らしを彩ってきた<PENDLETON>。「My Own Private PENDLETON」では、そんな日常を編みながら未来へと続くカルチャーを形創る方々をご紹介します。第16回は、シンガーソングライターのHana Hopeさんをお招きして、アメリカと日本の架け橋になる「フォルクポップ」な物語を紡ぎます。

ジョニ・ミッチェル、ウクレレ、フォルクポップ
――小さい頃から常に身近に音楽がある環境で暮らしてきたと伺っていますが、どんなきっかけで音楽活動を始めるようになったのでしょうか?
Hana Hope:親の影響が大きかったのですが、小さい頃からビートルズやジョニ・ミッチェル、それにスティングやレッドツェッペリンとか、70-80年代の音楽がいつも流れていて、自然と好きになっていきました。
その前からずっと歌うことは大好きだったんですけど、11歳の時に母が買ったウクレレで弾き語りしたりするうちに、キャロル・キングやシネイド・オコナー、それから改めてジョニ・ミッチェルなど、ストーリーテリングが豊かな人たちの音楽により興味を持つようになって、自分でも曲を作ったり、パフォーマンスの楽しさが身に付いていったんです。
12歳頃になると、家の近くの小さいライブハウスでライブをしたりするようになって、そこで色々なミュージシャンと出会い、それからずっと音楽活動を続けているような感じですね。
――13歳の時に高橋幸宏さんに出会い参加した、YMO誕生40周年を記念したトリビュートライブに出演した際に歌った「CUE」のカバー音源や、その後、鈴木慶一さんやTOWA TEIさん、ROTH BART BARONさん、桜井和寿さんなどとのコラボレーション音源なども聴いてきたのですが、ストーリーテリングしている内容が自然と体の中に入ってくる、本当に素敵な声だと思いました。
それから時を経て昨年3月に発表した、ご自身で作詞作曲を手がけた楽曲も多く含むメジャー1stアルバム『Between The Stars』も聴かせていただいて、今Hana Hopeさんが奏でる音楽には、幼い頃から聴いてきた音楽はもちろん、その後のご自身の暮らしの中で見つけた独自の解釈や新たな興味みたいなものも感じられて、多分世代としては親子くらい離れているんですけど、どこか懐かしさも感じつつも新しさを感じる、不思議な気持ちになりました。
Hana Hope:そう言っていただけると嬉しいです。この1〜2年くらい、自分の音楽に対して悩んだり、色々と考え直したりしていて、このアルバムを作る中でも色々なジャンルにも挑戦したし、「そもそも私って誰なの?」と言う問いにも向き合うことができたかなと思う。
いま現在、私がすごく魅力を感じているのは、スリーバンドサウンドだったりするんですけど、でもそれだけではなくダンスミュージックだったりポップなサウンド、エレクトリックなサウンドもとてもいいグルーヴを出せるし、それらをコンバインした自分なりの「フォルクポップ」と呼べるようなジャンルを創りたいと、すごく思っています。
自分なりの「フォルクポップ」と呼べるようなジャンルを創りたいと、すごく思っています

政治学、架け橋、希望
――昨年の9月からは、アメリカの大学に通っているのですよね?
Hana Hope:フィラデルフィアにある大学に通っています。アプリケーションを出す段階まで日本の大学も考えていたんですけど、もうちょっと世界を広げて色々なバックグラウンドを持つ人たちに出会いその人たちの経験を聞いたり、刺激を受けたいなっていう思いが強くなって、海外に出ることを決めました。
フィラデルフィアは音楽の街としても知られていて、ジャズやフリーソウルなどのシーンがすごく印象的な、音楽がとても身近にある場所で。ローカルなジャズバーとかもたくさんあるんですけど、普通にストリートを歩きながら大声で気持ちよさそうに歌っている人がいたり(笑)。ローカルのアーティストとの交流も生まれてきたりしています。
ニューヨークが近いので、週末に行ってセッションをしたりレコーディングしたりすることも多いですね。
――大学では、何を勉強されているんですか?
Hana Hope:政治学を専攻しています。よく「音楽に関係あるものを専攻してないんですか?」って聞かれるんですけど、小さい頃から政治学に興味があって。人として成長するためにもより広い視野を持つことが大切なのかなと思っていて、グローバルな視点で世界を見ることでアーティストとしてのインスピレーションも得られるんじゃないかと思っています。
――特に今のアメリカは、政治的に分断が進んでいたり、現在進行形の戦争にも関わっていたりと、政治学を学ぶ上では特に刺激的な時期ですよね。
Hana Hope:本当に、難しい世界になってきましたよね。やっぱり「分断」はとても感じていて、その中でも希望は持ち続けなければならないものだと思っています。父がアメリカ人で母が日本人なんですけど、日本とアメリカの架け橋になるアーティストになりたいという想いも強くて、こんなに難しい世界に生きているからこそ、自分の音楽を通して希望を発信していけたらと思っています。
そんなアメリカで暮らし始めてみて、同じような想いを持つ人のコミュニティと出会うことができて、実際にみんなが音楽によって繋がっていたり、救われているのを実感したりもしていて、なんだかとても嬉しい気持ちになりました。
日本とアメリカの架け橋になるアーティストになりたいという想いも強くて、こんなに難しい世界に暮らしているからこそ、自分の音楽を通して希望を発信していけたらと思います
カナディアン・タキシード、アイデンティティ、常にあるもの
――今日ご着用いただいている「ボードシャツ」など、1960年代に開発した「洗えるウールシャツ」が特にビーチボーイズに代表されるような西海岸のサーファーたちのユニフォーム的な存在として広く親しまれるようになり、彼らと共に現在に続くサーフカルチャーを形作っていったり、それこそフォーク時代のボブ・ディランがチェック柄のウールシャツやジャケットを着用してフォークシーンの象徴的なスタイルになり、時代を大きく変えるようなうねりができていったりと、アメリカは日本に比べて、政治と音楽やファッション、そしてカルチャーの距離が近いように感じるのですが、独自のストーリーテリングで自分ならではの「フォルクポップ」を形作ろうとしているHana Hopeさんが着ると、とてもしっくりくる感じがします。
Hana Hope:ありがとうございます。なんだかシャツに重みを感じますね(笑)。
――普段はどんなスタイルを好まれていますか?
Hana Hope:アメリカに行ってから、「カナディアン・タキシード」って呼ばれているんですけど、ジャストサイズなデニムのセットアップを着ることも多いですね。あとは、今日みたいにデニムを中心に動きのあるトップスを合わせたり。やっぱり私の周りはカントリーまではいかないんですけど、「フォルクポップ」とかを聴いている友だちが多いので、確かに音楽的な好みとスタイルが一致している人が多い気がします。
ファッションにしても音楽にしても、リバイバル的な雰囲気が身近に感じられて、たとえば最近の日本ではまだアコースティックなサウンドがそこまで受け入れられていないのかなと思うんですけど、それは私が小さい頃から慣れ親しんできたアイデンティティの一つでもあるので、オリジナルなものにして発信していきたいです。
――アメリカでの暮らしにも、だいぶ慣れきてたようですね。
Hana Hope:そうですね、だいぶ。大学の寮に住んでいて、ご飯はだいたい大学のカフェテリアで食べているんですけど、どうしようもないくらい偏っちゃうので、食事には慣れませんが(笑)。去年は全然行けなかったんですけど、1時間くらいのところにトレイルもあったりするので、今年はハイキングにも行ってみたい。
大学ではもちろん勉強も忙しいんですけど、小さい頃からずっと音楽は常に私の周りにあるものなので、「学業と音楽、どちらかを犠牲にしている」というような意識はなくて。今アメリカにいるからこそ触れらるものをできるだけ吸収して、自分の音楽にも活かしいけたらと思っています。
毎年夏休みには日本に帰ってくる予定なので、日本でのライブや、家族との時間も楽しみたいですね。

この夏はワンマンライブのほか、サマーソニックなどのフェスにも出演予定
<プロフィール>
Hana Hope
ハナ・ホープ / 2006年生まれの歌手・シンガーソングライター。アーティストとしての活動を続けながら、現在アメリカの大学で政治学を学ぶ現役大学生でもある。透明感に満ちたノスタルジックな歌声と、唯一無二の癒しをもたらすパフォーマンスは話題を呼び、デビュー前の中学時代から高橋幸宏、TOWA TEI、ROTH BART BARONなど錚々たるミュージシャンとの共演を果たした後、2023年にインディーズレーベル<UMAA>からデビュー・アルバム『HUES』をリリース、音楽雑誌『Music Magazine』の年間ベストアルバムのJ-POP部門2位に選ばれる。2023年7月にソニー・ミュージックより「flowers」で『Fate/Grand Order Memorial Movie 2023』のテーマソングに抜擢されメジャーデビュー。
『はめつのおうこく』、『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』、『七つの大罪黙示録の四騎士』などアニメのテーマソングをリリースするかたわら、イギリスの人気エレクトロ・デュオ・HONNEや、Ceroの高木晶平、jo0ji、江﨑文武など多くのアーティストとのコラボレーション楽曲も多数制作、Hana Hope独自の音楽性を表現している。2025年3月にメジャー・1stアルバム『Between The Stars』をリリース。2025年4月ポカリスエットCM曲「99Steps」に歌唱参加し話題に。2025年カンヌ映画祭でパルムドール賞にノミネートされた映画『ルノワール』(早川千絵監督)に女優として初出演。2025年9月NHKのドキュメンタリー、ETV特集「アメリカに刻印を残す女たち〜写真花嫁100年の物語」のナビゲーターに抜擢され、番組は2025年度上半期のギャラクシー賞を受賞。
ライブパフォーマンスには定評があり、2025年「Fuji Rock Festival ‘25」に出演、4月(渋谷WWW)、8月(代官山UNIT)、そして12月(Blue Note Place) 行われたワンマンライブはすべてソールドアウト。2026年は国内・海外の音楽フェスに参加、8月7日に東京・リキッドルーム、8月28日に大阪・JANUSでワンマンライブも決定している。
また、8月5日には次作のシングル「Hearts Glow」を7月クールTVアニメ『さよならララ』エンディングテーマとしてリリース。プロデューサーにLana Del Ray、Sean Mendez、LumineersなどをプロデュースするDavid Baron氏を迎え、アメリカ・ウッドストックでレコーディングされた意欲作であり、アコースティック・ギターを主体とした静かな冒頭から、Baron氏ならではの壮大なバンドサウンドへと展開するフォルク・ポップ作品として仕上がっている。
photography:Masaru Tatsuki
text:K2
edit:Sohei Oshiro(Chiasma)
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