PENDLETON patterns vol.3:The College Fund Patterns

PENDLETON patterns vol.3:The College Fund Patterns

PENDLETON patterns vol.3:The College Fund patterns
アメリカン・インディアン・カレッジ基金シリーズ

創業以来、<PENDLETON>はインディジネスピープルズ(ネイティブアメリカン)との交流を深めながらその伝統的なパターンをベースにした独自のデザインと技術で色鮮やかな柄のブランケットを開発し、彼・彼女たちと共にその文化を彩り続けてきました。現在では100種類以上に及び、ブランケット以外の商品にも展開される<PENDLETON>のオリジナルパターンの中から代表的なパターンをご紹介する「PENDLETON patterns」の第三回目では、「The American Indian College Fund」シリーズのパターンたちにまつわる物語をお楽しみください。

  

このロゴマークには、炎と羽が組み合わされており、炎は教育が個人とコミュニティに知的および経済的成長をもたらすことを象徴しています。炎の中にある羽は、トライバル・カレッジがネイティブの言語と文化をカリキュラムに統合し、学生生活を通じてその伝統に浸れるように努めていることを表しています。

 

American Indian College Fundと<PENDLETON>

1989年に設立された「American Indian College Fund(=アメリカン・インディアン・カレッジ基金、以下『The College Fund』)」は、アメリカ全土の先住民族の学生たちの高等教育へのアクセスを支援する米国内最大の慈善団体として、インディジネスピープルズ(「AICF」においてはネイティブアメリカンとアラスカネイティブ)のための奨学金と各種プログラム、さらに入学後の学生のキャリア支援につながる各種サポートまでを提供しています。

The College Fundは、いわゆる「居留地」内にあり「先住民ネーション」の政府及び連邦政府が認可する全米35校ある認定トライバル・カレッジ及び大学(TCU)の運営も支援しており、独立した慈善団体の評価機関から常に高い評価を受け、「Better Business Bureau’s Wise Giving Alliance」のトップ100チャリティーにも選ばれている団体です。

<PENDLETON>1995年から同団体と提携し、The College Fundシリーズのブランケットの売上160万ドル以上をアメリカ全土のトライバル・カレッジやTCUへ進学する学生の奨学金として寄付し続け、2020年からは学生たち対象のデザインコンペを開催し、同シリーズのデザインとして採用しています。

以下では、The College Fundとの取り組みから生まれたパターンのブランケットを、各デザイナーの声を交えながらご紹介していきます。

 

 

COURAGE TO BLOOM

同パターンは、第一回目となるThe College Fundブランケットデザインの学生コンペの最優秀賞受賞作品であり、デザイナーのデショーナ・アンダーソン(米南西部ホワイトマウンテン地区を拠点とするアパッチ族出身)は、AICF奨学生でもあります。

「『COURAGE TO BLOOM(=カーレッジ・トゥ・ブルーム)』パターン内で使われている矢印は人生における道標を意味し、どんな道にも落とし穴や危険がありつつもチャンスがあることを示唆しています。殺害されたり行方知れずとなった数多の先住民に敬意を表して中央に描かれた大きな花の根元に位置する砂時計は、生きていくなかで直面する大きな困難に立ち向かい乗り越えていく、精神的な旅路を象徴しています」(デショーナ・アンダーソン)

 

 

24F/Wシーズンの新作パターン。

 

DIRECTIONS HOME

ディネ・カレッジで美術とグラフィックデザインを専攻したトロイ・ツォ(ディネ族=ナホバ族)は、ホームレスの退役軍人たちの苦境を目の当たりにして改めて「家」が持つ役割を考えるようになり、このデザインが生まれました。

「『DIRECTIONS HOME(=ディレクションズ・ホーム)』パターンの中心にある幾何学模様は、木と土でできたディネ族特有の伝統的な建造物『ホーガン』がモチーフとなっており、それを囲むように実際にディネ族の拠点エリアを囲む4つの山々であるDibé Ntsaa(=ヘスペラス山)、Sisnaajini(=ブランカ山)、Tsoodzil(=テイラー山)、Dook'o'osliid(=サンフランシスコ・ピークス)を描きました」(トロイ・ツォ)

 

24F/Wシーズンの新作パターン。

 

DRUM KEEPERS

デザイナーのトレイ・ブラックホーク(スー語系の先住民族ウィネベーゴ族)は、リトル・プリースト・トライバル・カレッジの卒業生であり、ウィネベーゴ族に伝わる歌い手たちの呼び声と太鼓の音に耳を傾けるうちに、自分のルーツについて深く興味を持つようになりました。

「太鼓の材料はかつて生きていたものであり、人々を癒し、踊り、歌うために犠牲にされたバッファローやムースの皮、そして杉の木で作られています。そんな太鼓とバチを4つの伝統的なアップリケ模様で縁取ることで、世界を支える母親たちへの敬意を表しました。バックグラウンドにレイアウトした帯の色は、人生における季節、そしてすべての節目を表現しています」(トレイ・ブラックホーク)

 

MANY NATIONS

同パターンをデザインしたダスティン・ロペス(ディネ族/ラグナ・プエブロ族/パスコア・ヤキ族)は、アリゾナ州フェニックスを拠点とするデザイナー・アーティスト・壁画家・教育者であり、The College Fundの奨学生としてディネ・カレッジに在学しています。さまざまな部族の血を引き継ぐダスティンは、心を開いてパウワウで部族間のダンスを学ぶことで、自らのアイデンティティを確立していきました。

「『MANY NATIONS(=メニーネーションズ)』は、複数の部族への敬意を表して生まれました。中央の砂時計の形はナバホ=ディネ族の母系社会を思い起こさせ、サラペのレイアウトはヤキ族への敬意を表し、ターコイズはラグナ・プエブロ族を象徴しています。

中央部分は『Mix Blood』の頭文字である『M』と『B』を組み合わせでもあり、自身のルーツを象徴する意味合いも持ち、さまざまな文化の融合を表しています」(ダスティン・ロペス)

 

24F/Wシーズンの新作パターン。

 

MORNING STORM

MORNING STORM(=モーニングストーム)」パターンをデザインしたカイドニー・シャングロー(オグララ・スー族)は、オグララ・ラコタ・カレッジでオフィステクノロジーを学日ながら、ビーズワークのアーティストとしても活躍しています。いくつか年上の親族が亡くなったことをきっかけに、家族のビーズ作品を保存したいと思うようになりました。ベースとなったのは、「MORNING SKY(=モーニングスカイ」と言うパターンで、カイドニーの高祖母のセリーナ・マーシャルが1865年に自分のモカシンやレギンスのために作ったデザイン。母系の系譜を通じてシドニーに伝えられました。

「上下の2本のボーダーは、長い人生とそのなかで重ねる多くの冬を表しています。階段は旅を表し、中央部左右の2つの点は、子どもから大人になるまでの良い人生を意味しています。上下二対の雷鳥は、嵐の中で歌を運ぶメッセンジャーの役割を果たしています。

一族が手掛けたパターンに興味を持った最初の一人として、私は自分のアートを通じて自分の人生や家族、そして好きな場所の物語を伝えていけたらと思っています」(カイドニー・シャングロー)

 

RAVEN AND THE BOX OF KNOWLEDGE

RAVEN AND THE BOX OF KNOWLEDGE(=レイブン・アンド・ザ・ボックス・オブ・ナレッジ)」パターンを手掛けたプレストン・シングレタリーは、アメリカ西海岸北西部出身の国際的に有名なガラス作家であり、彼の曽祖父母は生粋のトリンギット族の先住民。ブレストンの作品は、トリンギット族の伝統的なイメージや伝説をガラス細工に変換したものです。

彼の作品は、ワシントンDCの国立アメリカ・インディアン博物館からスウェーデン・ストックホルムのハンデルスバンケンまで様々な美術館に収蔵されおり、シアトル美術館の理事会メンバーとしても活躍しています。

「レイブン(=カラス)は変幻自在であり、目的を達成するためにしばしば狡猾な策略をめぐらすトリックスターとしても知られます。トリンギット族の神話の中で、年老いた酋長は太陽や月、星などの大切な宝物を美しい彫刻の施された箱に入れていました。カラスはその箱から光を盗み、太陽を口にくわえて逃げました。太陽は悟りや知識の象徴として伝えられています」(プレストン・シングレタリー)

 

UNITY

チェリサ・オーエンス・サイアー(フォート・ペック・アシニボイン&ダコタ・スー族/パスクア・ファースト・ネーションズ・クリー族)は、モンタナ州フォート・ペック・インディアン居留地出身のアーティストです。フォート・ペック・コミュニティ・カレッジを卒業後、現在はモンタナ州立大学で学んでいます。彼女は独学で現代のレジャーアート(プレーン族に伝わる伝統的なナラティブドローイング手法)やビーズ細工、グラフィックデザイン、絵画を学び、自身のルーツとなる家族や文化から多大な影響を受け作品を作ってきました。

「『UNITY(=ユニティ)』パターンには、夜明けにラコタ族の伝統的なティピーが立ち並ぶ村を、馬が駆け抜ける様子が描かれています。幾何学的な『モーニングスター』が各住居の上に昇り、夜明けを迎えます。ラコタ族の言葉で馬は「シュンカ・ワカン」(聖なる犬)と呼ばれ、力と団結の象徴として知られています」(チェリサ・オーエンス・サイアー)

 

 

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