Patterns vol.1:HARDING & HARDING STAR
時をかけるパターン
創業以来、<PENDLETON>はインディジネスピープルズ(ネイティブアメリカン)との交流を深めながらその伝統的なパターンをベースにした独自のデザインと技術で色鮮やかな柄のブランケットを開発し、彼・彼女たちと共にその文化を彩り続けてきました。現在では100種類以上に及び、ブランケット以外の商品にも展開される<PENDLETON>のオリジナルパターンの中から、本連載「PENDLETON patterns」では代表的なパターンをご紹介します。第一回目は、「HARDING(ハーディング)」。一世紀以上にわたり愛され続けるパターンの物語をお楽しみください。
文化の架け橋としてのパターン
1923年、ウォーレン・G・ハーディング元アメリカ大統領とフローレンス・ハーディング夫人がオレゴン州のブルーマウンテン・カントリーを訪れ、「オールド・オレゴントレイル」の一部を竣工した際、カユース族とウマティラ族の指導者たちはその記念式典でファーストレディであるフローレンス夫人への特別な贈り物を贈るために、ユニークなブランケットの製作をペンドルトン毛織物工場に依頼しました。
織物職人たちは、既に人気のパターンとなっていた「CHIEF JOSEPH(チーフ・ジョセフ)」をもとにアレンジを加え、白・褐色・黄色・赤を基調としながら当時は西洋的なデザインの象徴とされていたフリンジ付きのブランケット・ショールを開発。ファーストレディの誠実さと率直な性格を表す柔らかな色合いと斬新なデザインを併せ持つこのブランケットを、ハーディング夫人は快く受け取り、インディジネスピープルズの間でも文化の架け橋として特別な意味を持つパターンとして知られるようになりました。
1926年にフローレンス・ハーディング夫人の名に因み「HARDING」と名付けられたこのパターンは、数多くある<PENDLETON>の柄の中でも最も人気のあるシグネチャーパターンの一つとして、一世紀以上にわたり愛され続けています。
新たな歴史を紡ぐシンボル
時のファーストレディの名を冠した「HARDING」パターンは、20〜40年代に「アメリカの恋人」と呼ばれたサイレント映画時代の大スター、メアリー・ビッグフォードやトーキー映画の大スターとして知られるアニタ・ペイジなど人種や文化を超え時代を象徴するアイコンにも愛され続け、その後もアパレルやホームウェアなど、様々なアイテムに取り入れられてきました。
パターン誕生から100周年となる2023年にリリースされた「ROYAL BLUE CENTURY HARDING」は、上品で高貴な深みのあるロイヤルブルーと鮮やかなグラデーションのカラーリングが特徴的で、既存の「HARDING」ともまた違う雰囲気を持ち、より多様性を重視する時代となった世界の中で、新たな歴史を紡ぐシンボルとして大きな注目を集めています。
物語の世界へと誘う「HARDING STAR」
同じく100周年を記念して発表された「HARDING STAR(ハーディング・スター)」は、「HARDING」にも織り込まれているインディジネスピープルズの神話などで伝わる山や川、動物や星などの自然物からインスパイアされたデザインモチーフにフォーカスしながら美術品のように表現すべく、メダリオン形状に囲み込むことでシンボリックに際立せたパターン。連続性を重視した「HARDING」をベースに、各モチーフたちの持つ物語の世界へと誘うようにアップデートすることで生まれました。
物語の先にあるもの
24年SSシーズンのメインビジュアルとして取り上げたオーバーサイズのジャガードバスタオルは、シンボリックな「HARDING STAR」をシックなモノトーンで表現することで、存在感がありながらも主張し過ぎない、絶妙のバランスを意識してデザインされました。
<PENDLETON>がトレーディングブランケットを手掛けていた頃からこだわり続けているジャガード織で仕上げられたタオルは、パターンの再現性が高いことはもちろん、厚みのあるしっかりとした生地で肌触りが柔らかく、吸水性や保温性にも優れています(日本のみの展開となります)。